お使いのブラウザはサポート対象外です。
最新のブラウザからご閲覧ください。

インフラ屋とプログラマそれぞれの視点で

――お二人はよく一緒に飲みに行かれるんですか?

山川  時々行きますよ。
私はWebアプリケーションの技術や開発についてあまり詳しくないので、プログラマとして長年やってきた山根さんの話はとても興味深くて。
山根さんと話すときはいつも「どうしたらいいサービスができるとか、サービスはどのように提供するべきか」というような広い枠で語らいますね。

――インフラ側の山川さんとプログラマ側の山根さん、畑の違うお二人がそれぞれの視点でインターネットサービスについて語らうわけですね。

山根  こうして、我々二人が仲良くするのも、他ではあまりないことかもよ。 昔からIT業界では、開発する側と運用する側は対立しがちだからね。 サービスをつくる側は新しい機能を追加したい、変化を起こしたい。 一方で、環境を提供する側は変化を嫌い、今の安定した状態を保ちたい、と考えるものなんだよ。

小さくコツコツと

山川  それってあんまり良くないよね。
安定が崩れるので変化を嫌い、ダメといわれるから誰も何も言わなくなり、発言が無いから何も変化が起きず動かない、という負のスパイラルに陥ってしまう。
しかし、あくまで我々の仕事はビジネスをすること。 ビジネスには変化が要求され、常に新しいことを求められる。

山根  つくる側としては、革新的な機能をドーンと盛り込みたいが、それには時間と労力がかかり過ぎるしリスクもデカいので、ちょっとずつ小さな変化でもいいのでそれを常に起こしていくべき。
だから今、agile的な手法が注目されているんだろうね。

――確かに、変化の多いITの世界ではその方がいいですよね。 時間と労力のかかる大きな変化はリスクも大きいし。
でも、頻繁に変化が起こっては運用側は大変ではないですか?

山川  小さな変化でも障害の要因になる可能性があるからね。 でも、それは避けられないから、変更に伴うリスクを低減させるためのツールが重要。

オートメーション化の重要性

山根  今は便利な世の中でね、ChefやPuppet、SystemImagerなどのツールを使うと、たった数回のアクションでWebアプリケーションのプラットフォームがつくれちゃう。 アクセスやシステム負荷などの変化を自動的に検知して、自動的にリソースを増やしたり調整したりする可能性が大いにある。

――すると、運用が楽になるわけですね。

山川  数年前に経験したことですが、レキサスiDCを立ち上げて間もないころに「明日までに十数台のWebサーバーが欲しい」とお客さまから要望をいただいて、少ないスタッフにも関わらず必死な思いでサーバーのラックマウントから対応したことがある。
それを今ではサーバー仮想化技術の成熟や普及もあって、ほとんど人の手を介さずも短い時間で大量生産できる時代がきたのだからまさに驚き。 私はこのインターネットサービスにおける自動化技術の進歩は、他の工業の発展に通じるところがあると思う。 たとえば、昔の自動車生産では職人が作った金型で一つ一つの部品を作り、生産工程の大半を人の手で組み立てていたけど、今は人の手を離れ、自動化されてロボットが生産を行っている。 人が担うところは組み合わされた部品が適切に組み合わされて機能するかを要所要所で確認することだけ。
同じようなことがITの世界でも起こっている。今まで、インターネットでサービスを提供するには、多く人の手が必要だったけれども、サーバー仮想化や自動化など効率化を図ることができる技術がすごい進歩してきて人の手を介さなくてもサービスの大半が実現できるようになってきている。 かつ生産のスピードは上がっていき、すぐに使う、すぐに売ることが可能になる。周辺に目をむければ、すでに明らかな変化が起きているよ。

LCPの存在価値とは

山根  私はこの自動化と効率化の技術が、これからも自社製品を生み出して勝負していこうとしているレキサスにとって非常に重要だと考えている。
常に変化し続けるITの世界では、大きなものを時間をかけて作るのはリスクが大きいので、ちっちゃいものをたくさん作ってどんどん世に出してってユーザーからの多くの意見をもらい、修正を繰り返していく方がいい。 その取り組みを行うためにも、LCPのようなWebプラットフォームを自動で素早く準備できる仕組みがあるとポイント高いよね。

山川  また、LCPが採用したクラウドマネジメントシステムは、最近日本に進出してきた大手クラウドベンダー"Amazon Web Service"のAPIと互換性もあり、沖縄を拠点にするLCPと全世界に展開しているAWS双方に対して同時にデータを展開できる可能性がありますよ。
このことは「ではAWSだけでよいのでは?」というツッコミも受けそうだね。
確かにiDCとかサーバーとか自社設備を持たない多くのデータ事業者は大手インフラベンダーに依存するか、もしくはロックインされ身動き取れない可能性があるけど、レキサスはiDCを自社で持っているという担保もある。そこはレキサスの武器だよね。

――それも、他の工業の仕組みと似ていますね。 タイで洪水が起きたときも工場をタイにしか持っていなかった会社は、生産ラインがストップして大きな損害を負っていますもんね。

アプリケーションでお金は稼げない

――話を戻しますが、売れる自社サービスってどのようなものなんですかね。

山川  それがわかれば苦労しないよ。

山根  そもそもアプリケーションでお金を儲けようとしているのって、日本くらいのもんだわ。

――え、それって普通のことじゃないんですか!?

山川  十数年前に今のSaaSの原型にあたるASPが流行った時代を経て、今では無料で便利なアプリやソフトがたくさん出回っている。 その中で、どうやってお金を稼ぐのかをみんな苦心しているわけ。

山根  SIも昔はソフトウェアだけを提供していればOKだったけれど、これからはハードとクラウドを加味した提供が必要になってくるのではないかな。あと最近、「下を行きなさい」という言葉をよく聞くよね。
マシンはハードの基盤があってそこにOSがのって動いている、タッチパネルを操作してアプリが動く。内部原理は抽象化されてて見えないものだけど、UNIXなど低いレイヤーを知っていると、それがどうして動いているのかを調べられて、どう使われているかが考えられる。 プラットフォームを作ることだって可能。
この業界って、UIレイヤーがわかればある程度仕事になっちゃうんだけど、このマシンが内部でどんな仕組みで動いているかに関心を持つセンスも重要だと思うよ。

ハードとソフトとクラウドの三位一体

山川  山根さんの言うように、プログラムを1行ずつ読んでって、CPUで計算しデータもメモリに保存するというような、コンピューターの原理、一番重要で核となる部分は昔も今も変わっていない。 昔の技術が根本にあって、それが脈々と受け継がれていて、そういう伝統の上に新しい技術が成り立っているんだよね。
我々はそうした今をつくってきた技術者をリスペクトして耳を傾け、歴史的に今の技術がどのようにしてできてきたかを遡っていくことで、技術の本質を見ることができる。

山根  いまでも、UNIXのV6などの古いOSの勉強会とかがあったりするからね。

山川  無論、ハードとの関係性だけではなく、サービスの提供はいつでもどこでもWebで行えるよう、クラウドの活用も重要。

――これからは、ハード、ソフト、クラウドの三位一体が重要なんですね。

技術以外の大事なこと

山根  そう。 そして、技術を磨くだけでなく、常にアンテナを張ってこの世界の状況を把握し、今どんな動きが求められているかを知るべき。
若いエンジニアはどうしても手前の技術力にばかり注力していく傾向があるが、もっと周りにも意識を向けてほしい。

山川  同感です。 何年か前に採用に携わったとき、エンジニア希望の学生は「技術のために技術を学んでいる」という印象を受けましたね。
「IT技術とはあくまで道具」でしかなく、本来の目的はIT技術を駆使して、いかに顧客やユーザーに便利で快適になっていただくかということである。
そのために我々は腕を磨き、知識を蓄えるのであって、サービスを使う側を意識をせずに、技術主導で一辺倒な「こんなことができる」「こんなことができた」という意識だけでは単なる技術者のエゴでしかないと思う。 エンジニアを志す上で、ユーザー指向の意識を大事にしてほしいな。

山根  まさに、おっしゃるとおり。
大体私の若いころは・・・

その後も技術ネタは尽きることなく、夜がふけるまで話は続きました。。。

と、まあこんな感じで「より良いインターネットサービス」について何時間でも熱く語っちゃう歴戦の猛者たち。 どうやら、エンジニアにとって必要なものは技術だけではなく、ITで何をしたいのか、という目的意識が大切なようですね。 そんな強い意志をもった若い技術者と語らうことを猛者たちも楽しみにしているようです。

ノーマル画面

スライド画面